ジョン・ラスキン 「建築の七燈」 


版画制作について
(抄訳)
ジョン・ラスキン

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0901.jpeg (839 バイト)私は挿絵のための版画制作を急いだこと。またその出来栄えについてお詫びしなくてはならない。挿絵は、単なる参考資料として役に立てばよいと思っており、そのような控えめな目標のため、実際あるものは完全に失敗作になってしまったものもあると思う。

とはいえ、それぞれの挿絵版画は、技術の稚拙さや粗雑さはさておき、価値のあるものになると思っている。それらは、現地で私が描いたスケッチの書き写し、あるいは私自身の監修によるダゲレオタイプの写真を拡大し模写したものであるから。

残念ながら私が描写したい窓はあまりにも高い位置にあるため、写真ですら不鮮明になっている。ことに窓周辺の細部に関しては責任を感じる。

しかし、プロポーションに関しては深く観察した。 柱の螺旋も数を数えて描写し、全体的な効果も目的にかない本物に十分に近似している。描写上の精密さや、また古い建築を現実に見るとおりに、あまりにも正確に描こうとする努力によって、必然的に与えられる絵画的な性質や全体的な建築の真実性には欠けているかもしれないが、ともかく用は足したと思っている。

1849年初版前書きより

0926.jpeg (965 バイト)挿絵の図版にオリジナルを挿入した初版は市場で高い評価が付くだろう。なぜならはそれらはエッチングという私自身の手で描いた描線であるばかりか、最後の挿絵はラ・クロシュ(La Cloche)という旅籠で、自分が使用した手を洗う洗面器の中で版の表面を錐でそぎとったりして苦労して制作したものだからだ。

私はエッチングを彫るとき、錐の先端を鋼鉄上につけ、決して粗雑な削り方や疑わしい感触に妥協しなかった。建築上の影の調子は単なる暗い面として描きたくなかったので、そのため私は次に示す方法をとった。

名前は思い出せないが、ドイツのある彫師に習ったやり方である。 まず大変薄く、やわらかい薄紙をグランドの表面に1枚のせ、その上を硬い鉛筆で線描するやり方だ。そしてその薄紙を取り除いた後にどのような陰が得られたかを確認する。鉛筆の先で薄紙にくっつくニスを取り除き、グランドの表面を酸の液でさらす。これによって得られる効果は、メゾチント、エッチング、そしてリトグラフの混合の一種である。

なお、再版からはカフ氏(Mr.Cuff)が初版の挿絵を複製してくれたのでそれを載せた。

1880年再版 前書きより 

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